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タニガワナマズの飼育

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概要

タニガワナマズは渓流に特化したナマズ属の一種であるが、飼育自体は他のナマズ属と基本的には変わらない。岩陰に潜む性質が強く、テリトリー性があり性格は攻撃的。同種や他種問わず噛みつく事が多い。飼育はこうした性質により単独飼育が前提となる。神経質な面はあるが、良い環境であれば人馴れもし、明るくても泳ぎ回るようになる。しかし、振動にはやたら敏感ですぐ驚く。

飼育適合水槽

オスは全長が45cmメスでは60cm程に達する、比較的大型になるナマズである。オスで90×45cm以上、メスだと120×60cm程の水槽があると良い。1年でオスは20cm前後、メスでは30cm程に成長する。初期成長スピードこそナマズやイワトコナマズに準ずるが、その後の成長は穏やかで、メスでも40cm以上に成長させるのにはかなりの時間が掛かる。成長に合わせて水槽も用意したので十分間に合う。
 

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60cmレギュラー水槽で飼育開始時6cm(2018年初夏)

60cmレギュラー水槽で飼育1年経過、20cm程に成長した(2019年秋)。飼育4年後、40cmに到達した(現在120cm水槽で飼育・2022年)

レイアウト

生息地から分かるように、岩陰を好むのでシェルターを多めにした水槽が理想的。塩ビパイプだけを入れたシンプルなベアタンクでも飼育できるが、よく転がしてかなりうるさいので寝室で飼うのには向いていない。本種は岩の下に入り込むだけでなく砂にもよく潜るので掃除は大変だが厚めに砂や砂利を敷くのも面白い。低水温に強く、15℃以下の水温でもよくエサを食べるが、越冬も出来るので冬季はどちらかを選ぶのも良い。例:2018~2020年の冬、通常管理。2020~2021年の冬は越冬、2021~2022年の冬通常管理(上記飼育個体)

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60cmレギュラー水槽で飼育の様子

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90×45cm水槽で大型個体を飼育。

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物陰に隠れる性質が強い。自然下でも岩や岸の抉れた場所で相当奥深くに潜り込んで過ごしているので飼育下でも岩を持ち上げて隠れようとする。

エサ

幼魚は小魚や冷凍赤虫、エビなどを与えるとよく、成魚は金魚やドジョウなどを与えるが、病気の侵入が怖いので、鮮度の良い冷凍のアユ、キビナゴ、ドジョウなどを与えると良い。食用として販売されていたり、肉食魚用のエサとして売られているので入手は容易である。
水温の低い時期でも比較的活発に泳ぎ回るナマズで、水温が10℃位でもエサを食べる事がある。しかし自然下ではエサの少ない時期でもあり水温が13℃以下なら週1回以下にエサの回数を減らしたので良く、本種自体も絶食には比較的強い(低温期)。また低温下では消化能力が落ちるので消化に時間のかかる大きめの魚などは控え、小さく切った切り身にするか冷凍赤虫などを少量与えてみるのが良い。前述で触れたが、エサを抜いて越冬させることも出来る。

 

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ドジョウを捕らえたタニガワナマズ

その他日常管理

●必ず蓋をする
​本種はパワーも遠泳力もあり、水流に向かってジャンプする。更に岩の下に潜り込む能力が高い事もあり、重りを載せた蓋も隙間に吻を差し込んで器用に脱走することを得意としている。特に水槽導入初期は脱走しようと猛烈にアタックする。蓋などは再三のアタックで徐々にずらされるので固定が難しい。外掛けフィルターは脱走の手助けになってしまうのであまりお勧めは出来ない。

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蓋をやめて金網で思い切って囲ってしまうとタニガワナマズお得意の頭ねじ込みが使えないので有効。
​(但ししっかりと固定する)

●導入初期、ストレスを受けたとき病気にかかりやすい
​導入初期はストレスを受けやすい。自らの粘液が多量に出て水質を悪化させやすく、炎症を起こしたり、エロモナス病や水カビ病を誘発したりと、とにかく神経質で扱いが難しい。またスレ傷からの感染症にもなりやすく、個体差もあるが落ち着かない環境では自らの尾を噛み負傷することがある。一旦落ち着くとそんなに体調を崩さないので、早く落ち着いてもらう様、水槽内で警戒させない事が非常に重要である。とにかく落ち着かせ、水を早めに換えるなど導入初期は手をかけてやりたい。

●水流が大好き
​元々流れの速い渓流域に生息するナマズである為、酸素含有量の高い水を好む。ギギほどではないが酸欠には気を付けたい。しかし、ギギよりも流水を好み、水槽内で水中ポンプを設置すると断然落ち着き方が異なる。通常の上部フィルターだけの飼育環境では、よく頭をガラス面に擦り付けながら落ち着きなく泳ぎ回る動きをする。日中だけでなく夜間も落ち着かない場合はずっとこの動作をすることがある。この動きを延々としていくと、顎が炎症を起こしたり、酷いと変形したりするのでなるべくしてほしくない。画像のようなパワーのある水中ポンプを設置すると水流に向かって泳いだり、夜間はその下で休憩したりしているのでかなりリラックス効果があるのだろう。しかし、本種はその性質上、なんでも潜り込もうとするので固定だけはしっかり行う。

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●よく暴れる
​かなりの大きさの岩にもねじ込んで入り込む魚なので、よく物を動かす。その為レイアウトは破壊されやすく、ポンプの配管も外してしまうことがある。できるだけコーナーガードの中に配管はまとめて、触らせないようにしたい。また、本種自らコーナーガードの中に入りたがるのでコーナーガード自体も隙間対策をしっかり行う。

●水の汚れに敏感
​綺麗な新しめの水を好み(PH7前後)古い水を嫌うので週1回は水替えを行う。水槽の3分の2程換えたので良い。水が汚れると食欲不振になるだけでなくエロモナス病や綿被り病などを起こしやすくなり、そうなると中々治療するのが難しい。私は牡蠣殻を投入しているが、中々良さそうな感じである(PH降下対策)
水替えは水質や水温も変わり、本種にとっては刺激的なので、夜間の脱走行動を誘発してしまう事もあり、水槽周りの対策は良く点検をすることが大切。

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